現在インテリアブーム、デザインブームの中、インターネットの普及もあいまって、消費者は今までより多くの情報を得る事ができ、自分なりのLIFESTYLEを編集する事が可能になりました。この状況はインテリアに限らず全てのジャンルにいえる事なのですが、過度に供給される情報をうまく処理するための尺度としてトレンドは機能しており、デザイナーよりスタイリストが、DCブランドよりセレクトショップが求められる時代ではトレンド自体がごくごくパーソナルで「こんなカンジ」とかいう個人の中にしか存在しないもの同士のぎりぎりのコンセンサスの中で危うく成立しているニュアンスのようなものに拡散し、尖鋭化されているように思います。
ミッドセンチュリーの家具をブームに祭り上げたのはハーマンミラージャパンやknollではなく、海外から安くで買ってきた中古家具を付加価値をつけて販売する目黒通りの家具屋さん達だったわけです。逆に言うなら、高付加価値をつける事ができビジネスモデルとして成功させた者がトレンドセッターとなり、多くの追随を生み、トレンドとなる、この方が正確な理解かも知れません。その形態は北欧だったり、えせミニマリズムだったり、過去のグッドデザインだったりと形を変え、様々なトレンドが生まれてきたわけですが、その裏には成功したビジネスモデルがあったわけです。
しかし、現在の拡散し、先鋭化したトレンドはビジネスにはなりづらいもので、CIBONEがVMDには一番売れないものを持ってくるとして、全面に押し出したネオゴシックのスタイルは若手インテリアデザイナーには影響を深く与えましたが、fine-refineさんの結果を見るまでもなく家具については商業的成功にはつながらなそうです。この場合は以前のE&Yのような役割を担おうとしているのであって、CIBONEがトレンドセッターである事自体が重要な事なのでしょう。ビジネスはDEAN&DELUCAでという事でしょうか。もっとも、トレンドセッターといっても海外のトレンドを持ってきただけで生み出しているわけではないのですが、11月に数名の人気デザイナーによるオリジナルを発表されるそうですから、これからCIBONEは生み出していく側になるのでしょう。
8年ほど前OZONEでやっていたある若手デザイナー達の家具の展示会で、他の展示をたまたま見に来ていた建築家の中村好文さんに展示を見た感想をお聞きしたところ「家具が20年,30年保つのなら、そのデザインも同じ年数に耐えうるものでなければならない。」とおっしゃっていたのが印象に残っています。何か新しいものを作り出してやるぞという若い気概にあふれた展示ではありましたが、この展示に共感した若者がある程度歳月を経た時、その家具がまだ共感できるものであるかは言わずもがなでした。長期スパンで物事を計画する建築家ならではの言葉であり、家具のトレンドなんて事自体意味が無い事だと気づかされます。
written by yutaka

