忠蔵さんはリスクの高い先行投資の好きな人で、そういう意味ではAB designと付き合う事も先行投資の一つだったようです。昔は当たり前の事だったのでしょうが、木工所が直接問屋を介さずに材木を仕入れるのはあまり一般的でなく通常はホクサンさんなどから随時購入するものだというのが私の認識でしたが、忠蔵さんはブラジルやヨーロッパに直接材料を買い付けにいくアグレッシブな投資を行っています。凄まじいリスクだと思うのですが、一流を目指し特化したメーカーとなるためには不可欠なことなのでしょう。そういうわけで忠蔵さんのところには面白い材料がゴロゴロしていたのです。ABの新作の基本仕様となる3つの材料、ペアウッド、バーントオーク、チェスナットもその一部です。

ペアウッドはスイス原産の西洋梨で、緻密な肌理とペアのみが持つ女性的な優しい色合いが特徴です。ヨーロッパでは高級家具材料として珍重されているのですが、材料価格が非常に高いため日本では既製品家具に用いられる事は全んどありませんでした。

バーントオークというのは楢を特殊加工して、埋もれ木のように材木の芯まで黒っぽい色をつけたもので、日本で初めて忠蔵さんが仕入れた材木です。材木によって色の入り方が違い、その濃淡がウォールナットのような味わいがあり家具にすると今までにない美しさがあります。特に柾目に特徴的に現れる、通常は嫌われるところのトラ斑がつや消し塗装をすると見事な景色となりこれも味わい深いものです。

チェスナットは日本では古来から家具材料として使われていた栗の木なのですが、欧米ではB&Bが柾目をボードに横使いにしたり、最近では安藤忠雄さんの家具に使用されています。特に柾目には栓のようなすっきりした味があります。どれもあまり日本ではお目にかからない材料ですが、他社ができないことをやるという意味でも面白いラインナップになったと思います。
written by yutaka

