忠蔵さんの木工所に初めてお伺いしたのは2005年の夏でした。私は初めての場所に行く時は駅からの道をゆっくり歩いて覚えることにしていましたが、水路の多い湿地帯のせいか、開発が遅れていて雑草の生い茂る道を、ひどく暑い中30分ほど歩いたのを思い出します。
工場の隣の自邸内の事務所に通されて、美しい無塗装の無垢の檜の大テーブルの前で、忠蔵さんにエービーデザインの現状をできるだけ客観的にご説明しました。他社を圧倒する品質が必要なこと、近藤さんの家具に対する考え方、自分の考える家具業界の現状などです。
忠蔵さんは数多の当代一流と呼ばれる設計者と共に仕事をしてきた方なので、私の能書きをどう受け止められたのかはあまり想像したくありませんが、製作をお願いする家具の図面をおみせしたところ「素晴らしいデザインだ。」と気に入ってくださいました。
もともと忠蔵さんは近藤さんの師である倉俣史朗さんと仕事をしたかったのだけれど、接点がなかなかできないまま倉俣さんがお亡くなりになり、近藤さんも間接的には知っていたのだけれども仕事をした事はなく、一度お手合わせを願いたいと思っておられたのだそうです。気難しそうな第一印象だったのですが、まるで布袋さんのように相好を崩して豪快に笑って「やりましょう。」と言ってもらえたのでした。
written by yutaka

